判例・裁判例

普段、業務をしているときには、直接的に判例・裁判例の知識が役に立つことはやや少なく、実際には法律自体より審査基準の知識の方が役に立つことも多い気はしています。

 

実務にも影響のあった裁判例としては、プロダクトバイプロセスクレームに関わる裁判例(プラバスタチンナトリウム事件)がありましたが、その後、審査基準の改定がされてからは、判断がどうされるかの目安も見えてきたのではないかとの話も聞きます。

とはいえ、あまり自分自身の担当案件でその関係の拒絶理由を多く受けたことはないので、今どうであるかについて、そこまではっきりしたことも言えませんが…

 

プロダクトバイプロセスクレームの後の最高裁判例として気になったものでは均等論(マキサカルシトール事件)に関わるものや特102条に関わるもの(美顔器事件、二酸化炭素含有組成物事件)等はインパクトは強かったですが、出願・中間系の業務を行う限りにおいては、直接的に業務のやり方に大きな影響を与える裁判例というのはあまり多くはない気もしています。

 

それにしても、資格試験の勉強をするならば規範を定立した、過去問に出ている知財判例等はキャッチアップしやすいですが、実際に実務を意識した内容だと中々キャッチアップするのも大変だなという気もしています。

大手の特許事務所の裁判例の解説ページ等を読んだり、周りの人が噂しているのを聞いて重要そうなものをチェックしたりしますが、それでキャッチアップできるかというと中々容易でもないですね。

侵害訴訟で大きな事件があるとニュースになっていたりしてそういうのもチラホラと見はするのですが、規範定立をしているもので、実務に影響のある形でないとどこまで読んだものかというところも思うものです。

 

弁理士試験の受験機関が長期休暇に集中講義で裁判例をまとめた講義をしたりもすると思うのですが、規範を定立した重要なものを扱っているという意味では重要かもしれませんが、実務への影響のある裁判例をピックアップというと試験に出る裁判例とも必ずしも一致しないところもありますし。

 

暫定的な結論としては、私見では、実務者がある程度早い段階でキャッチアップしていくには、弁理士クラブが発行している「判例70選」あたりを読んでいくのがよいのかなとは思っているところではあります。